【クラゲの餌やり】給餌方法や餌の種類について

 クラゲの形を出来るだけ美しく、かつ長生きさせるためには、適切な餌の量(栄養バランス)や水流、水質、水温などが重要になってきます。ここら辺は割とシビアでコツが必要。クラゲの飼育は難しいと言われるのはこのためですね。今回はその中でも、「給餌(餌やり)」について詳しくご説明します(給餌方法・餌の種類・冷凍餌のメリット・人工飼料のメリット・液体フードのメリット・餌を与える頻度等について)
 クラゲは見かけによらずかなりの大食いで、何かをしょっちゅう食べていなければ生きていけません。そのためには、餌を数回に分けて与えたり、水温を低くして代謝を遅くしたりと、様々な工夫を施す必要があります。また、ただ量を与えればいいという訳でもなく、栄養バランスもきちんと考慮する必要もあります。よくクラゲの主食として「アルテミア」が挙げられますが、それだけというのは個人的におすすめしません。そこで記事後半には、クラゲ飼育におすすめな冷凍餌・人工飼料・液体フードなどもご紹介していきますので、どうぞご参考までに。



美しいクラゲを保つ秘訣は...!?






<目次>

●自然界では何を食べてるの?
●餌の種類について
●冷凍餌のメリット
●人工飼料のメリット
●液体フードのメリット
●餌を与える頻度について
●給餌方法(動画でご紹介)
●おすすめの冷凍餌・人工飼料






●自然界では何を食べてるの?


【水槽と違い、海は餌の宝庫!】

 生物を飼育するにあたり、その生物が普段食べている物を自宅で用意することが出来るのであればやはりそれが一番です。では、自然界の「クラゲ」は普段何を食べているのでしょうか?そしてその餌は入手可能なんでしょうか?



 海には、肉眼で確認出来ないほど小さな生物がひしめきあっています。まさに、「生命のスープ」状態。クラゲ達はそんな海を漂いながら、常に食事をし続けているわけですね。特に多いのはやはり動物プランクトンです。「プランクトン」と言うとかなり大雑把に聞こえますが、そもそも「プランクトン」の定義自体がアバウトなのです。プランクトンとは、「遊泳力が無い、もしくはほとんどない生物達の総称」になります。つまり、クラゲも一応プランクトンになります。
 またそれ以外にも、海には甲殻類の幼生や魚の稚魚など数えきれないほどの生物が常に泳ぎ回っているため、クラゲにとってはもう通年バイキングのようなものです。ですから、もしクラゲに「生まれ故郷の食事を与えたい!」と言うのであれば、不可能ではないんですね。プランクトンネットなどを持って海に行けばいいのです。ともあれ、あまり現実的ではないのでおすすめはしませんが。


◆プランクトンネット(円柱型)

 目開き1μ相当のプランクトンネット。簡単に言えば、「めちゃくちゃ目の細かいネット」です。アルテミアなどを濾して洗う時などにも使えます。その目の細かさ故、一般的なネットに比べると結構お高めですが、持っておいて損はない一品。
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↓こちらはそれよりも目の粗いタイプ。値段も控えめです。
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◆プランクトンネット(柄付き)

 岸辺からも使用できるように、約1mもの柄が付いた小型プランクトンネットです。海でのプランクトン採集におすすめ。
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●餌の種類について


【常に2~3種類はストックを】

 「クラゲの餌と言えばブラインシュリンプ(アルテミア)」という考えが恐らく一番強いでしょう。確かにアルテミアは比較的簡単に手に入りやすい(自宅で孵化可能)貴重な生き餌です。嗜好性も高く、ほとんどのクラゲは食べてくれます。しかし問題なのはその栄養価です。アルテミアにはたんぱく質が多く含まれまていますが、生き物に必要(正常な細胞を形成する)な高度不飽和脂肪酸(DHAやEPAなど)はほとんど含まれていません。これはかなりの大問題です。



 先程も記述した通り、自然界にいるクラゲ達は主に動物プランクトンなどを食べているけなのですが、そもそもこの動物プランクトンの主食はDHAやEPAを多く含有している植物プランクトンです。そう、つまりクラゲは知らず知らずのうちにきちんと「高度不飽和脂肪酸」を摂取しているわけですね。
 では、ご自宅のクラゲにこの「高度不飽和脂肪酸」を与えるにはどうすればよいのか。アルテミアの栄養価を強化させるというのも一つの手ですが、なんせ面倒です。そこでおすすめなのが市販されている「冷凍餌(プランクトン)」です。生きたプランクトンを確保できなくても、高度不飽和脂肪酸を含む様々な冷凍プランクトンは一般的に多く販売されています。ですので、アルテミアのみを与えるのではなく、こうした冷凍エサなどもうまく活用するのが飼育のコツと言えます。








●冷凍餌のメリット


【使いたい量をそのつど解凍】

 現在様々な種類の冷凍餌が、ネット通販などを利用することで簡単に手に入るようになりました(もちろん多くの店舗でも)。大抵のものが一個ずつブロックになって冷凍されており、使いたい時に使いたい量を出して解凍すればいいので、品質が良く保て、非常に便利です。
 また、生きたプランクトンなどをそのまま冷凍しているため嗜好性が高く、大概のクラゲは問題なく食べてくれます(クラゲのサイズに合ったサイズのプランクトンを)。常に2~3種類程は冷凍庫に入れておくと良いでしょう。しかし冷凍餌というものは、冷凍される過程の中でビタミン等が壊れてしまう恐れがあります。ですので完全冷凍餌飼育というのは...ややリスキーかもしれません。栄養面からも、複数種のプランクトンが配合された冷凍飼料があればいいんですが...少なくとも私は見たことないですね。

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●人工飼料のメリット


【栄養バランスに特化!でも…?】

 最近では「クラゲ専用飼料」なるものまで販売され始めるようになり、徐々にクラゲ飼育への関心が高まってきているみたいですね。何よりです。ですが、わざわざ「クラゲ用」と表記されいる餌を購入する必要はありません。なぜなら、クラゲが食べることのできる人工飼料はすでに数多くあるからです。
 特におすすめなのは、粉末状になったサンゴ用フードです。何を隠そうクラゲとサンゴは同じ刺胞動物。サンゴが食べられるのであればクラゲも食べられるということですね。この原理が合っているかどうかはともかく、実際にちゃんと食べてくれたのでよしとしましょう。またその他、魚用フードも物によっては食べてくれます。正確に、「これが好き!」というのはまだ解明できていませんが…色々試してみるのも面白いのではないでしょうか?
 さてそんな人工飼料ですが、一番のメリットはやはり「栄養バランスに優れる」という点につきます。人の手で作られたものであるため、生体のことを考えた配合となっており、むしろこちらを主食にしてしまってもよいほどです。ただ注意点として、嗜好性はかなりまちまちであるということを覚えておいてください。クラゲがお腹一杯食べてくれればいいのですが、彼らにもちゃんと餌の好みがあるため、気に入らなければ全く食べません(粘液で固めて落としてしまう)。そして更に、これはあくまで私の経験からなのですが、日によっては食べない場合もあります。また、何らかの物理的刺激を受けた後や、水質が悪くなってしまっている時、一度に多量の餌を与えた時、餌のサイズが小さすぎ又は大きすぎた時、比重が高い又は低い時など、様々な事が原因となり餌を食べなくなる場合があります。思った以上にわがままなんです。まぁそこも一つの魅力だと思って楽しんで下さい。

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●液体フードのメリット


【栄養バランスに特化!でも…?】

 サンゴ用飼料には液体タイプの物も存在します。「液体」と言っても、ここで私が紹介するのは「プランクトンの形そのまま」な液体フードです。その名の通り、プランクトンがそのまんまの形で残っており、クラゲたちの嗜好性も良いものでした。また、クラゲをいったん別容器に移して給餌をするという方にとってはかなり便利な代物かと思います。冷蔵庫からボトルを出して容器にポタポタ落とすだけですからね。
 プランクトンを凍らせていない分、確かに栄養もそのままでしょう...しかし、気になる点が。裏の原材料を見てもらうと分かる通り、一番多いものが「精製水」となっていますね。流石に生プランクトンだけ入れるという訳にはいかないということは分かりますが、それにしても量(プランクトンの)が少ない気がします。ほぼ精製水?これでしたら冷凍ブロックの方がはるかに量(プランクトンの)が多い...。
 ただ先ほどにも記述した通り、凍らせていない分品質は良い(要冷蔵)と思われます。また、複数のプランクトンが配合されている分、栄養バランスも申し分ないかと。どちらを選ぶかはあなた次第です。

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●餌を与える頻度について


【一日最低一回!出来れば二回!】

 ここまでの話から、クラゲの飼育がいかに面倒くさくて魅力的なものかが伝わったかと思います。しかし、やりようにやっては幾分かその手間を減らすことが出来るのです。例を挙げるとすれば、水槽にクーラーを取り付け水温を下げる方法などがあります。低水温にすることでクラゲの代謝が低下し、餌の消化がゆっくりとなるわけです。
 クラゲ飼育の一番厄介な点はやはり「給餌(餌やり)」でしょうね。大食漢である彼らを満足させるためには、一日数回餌を与える必要があります。サイトによっては「数日に一度給餌すればいい」と記載している所も少なくないですが、それはあくまで「最低限の飼育」だと思われます。この方法では、確かにクラゲをしばらく生かしておくことに関してはは可能でしょう。しかし、美しい形をキープしながらの長期飼育は困難になります。少しずつクラゲが小さくなってしまったり、形が歪になってしまう可能性が高まるのです。特にまずいのは、「数日に一回アルテミアのみ」という場合。高確率で歪なクラゲになってしまいます。そのためにも、一日最低一回の給餌を、日によって餌の種類を変えて与えて下さい。二回給餌が可能だという方は、朝に一回夕方に一回と時間の間隔を空け、それぞれ違う種類の餌を与えて下さい

▼関連記事
【クラゲ豆知識①】夏以外はどこにいるの?秋や冬に見られるクラゲって?








●給餌方法(動画でご紹介)


【メリット・デメリットを理解しよう!】

 さてそれではここから、具体的な給餌の方法を記述していきます。それぞれの方法にはメリット・デメリットがありますので、ご自身に合った方を選んで行って下さい。




◆別容器に移して行う給餌

クラゲはたくさんの餌を食べるため、飼育水槽で直接餌を与えてしまうと飼育水はもちろんのこと、濾材もすぐに汚れてしまいます。水質の悪化はクラゲの死に直結し、一晩で全滅してしまうことも(経験あり)。それを未然に防げる便利な方法がこちらになります。
ただいくつか注意点もあります。まずはクラゲを移す容器に関してですが、小さなものを使用すればその分確かに海水の節約にはなります。しかしその分、少ない水はすぐに汚れやすくもあります。クラゲが満腹になるまでの数10分は問題ありませんが、もしも忘れて一晩過ごしてしまったら…命の保証は出来ません(夏場は最悪)
 そしてもうひとつ、それはクラゲに刺激を与えてしまうというもの。こちらは別にクラゲの死にすぐ関わるというものではありませんが、余計な粘液を出してクラゲが弱ってしまったり気泡が入ってクラゲに穴が空いてしまったりする恐れがあります。面白いことに、クラゲの体内に気泡が入ってしまうと、その気泡はクラゲの体を突き破り出ていってしまいます(気泡が傘の内側に入った時、すぐにひっくり返してあげれば大丈夫です)。どちらにせよ、なるべく丁寧に、慎重に移して下さい。移す際にはお玉などを使い、水と一緒にすくって刺激を少なくさせるのもポイントです。
 そして最後にもう一つポイントが。別容器に移しての給餌中、たまにスポイトやお玉を使って水を動かしてあげてもなお良しです。酸欠を防ぎ、また底に沈殿した餌を巻き上げることによってそれらも食べてくれます。まぁ後者に関して言えば、クラゲが泳ぎ回る過程の中で彼らが底に着いた時、うまいこと触手で絡めとってくれますので、そこまで気にしなくてもいいかも?

<メリット>
・飼育水が汚れにくくなる
・濾材及び濾過層が汚れにくくなる
<デメリット>
・個体数によっては時間がかかる
・人工海水の消費量が増える
・小さな容器に長時間放置すると水質悪化で死に至る
・クラゲに刺激を与えてしまいやすい


◆飼育水槽内で行う給餌

 こちらの方法は飼育個体数にもよりますが、上記「別容器に移して行う給餌」よりも楽に行えます。簡潔に言うと、「クラゲの口腕に向けて餌を吹きかける」だけです。別容器に移す給餌では、別にクラゲの口腕に吹きかけなくてもよかったのですが、こちらは違います。なるべくゆっくりと、周りにあまり飛ばないよう、慎重に吹きかけて下さい。ちなみに、この時にポンプを止めてあげるとなお良しです。余分に飛びちった餌が濾過槽に吸い込まれないようにできますし、水流が無いとクラゲは餌を食べやすくなります。まぁ餌が沈殿してしまう可能性も高まりますが。

<メリット>
・時間がかからない(個体数による)
・放置していても問題ない(ポンプ稼働時)
<デメリット>
・水質が急激に悪化する恐れあり
・より定期的な濾過槽メンテナンスが必要


 それぞれ様々なメリット・デメリットはありますが...個人的には、個体数が少ない場合には「別容器に移して行う給餌」をおすすめします。やはり自分自身水質の急激な悪化が原因で何度かクラゲを全滅させてますからね。多少手間がかかってしまってもこちらがいいです。しかし、個体数が多い場合!これに関して言えば...断然「飼育水槽内で行う給餌」を押します。ただこの時はポンプを停止することが大前提ですね。放置して寝てしまわないように注意。
 一番良くないのはポンプを稼働させたまま水槽内で給餌を行う事。濾過槽はすぐに汚れ、ある日突然餌喰いが悪くなり、そして溶け始める...嫌な思い出です。どちらの方法を使いにしても、定期的な水質検査・換水は怠らないように

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▼「口腕」ってなんだっけ?という方はこちら!
ミズクラゲ編Part 2(体の構造と生態について)








●おすすめの冷凍餌・人工飼料


【冷凍餌】

◆冷凍ベビーブラインシュリンプ

 「わざわざ孵化させるなんて面倒!」という方にうってつけなのはこれ!その名の通り、幼生ブラインシュリンプをブロック状に冷凍したものです。必要な時に必要な数だけ出して解凍すれば、すぐクラゲに与えられるというなんとも便利な代物。孵化したブラインと卵の殻を分離させるという面倒な作業も省け一石二鳥ですね。そしてさらに嬉しいのが、DHAやEPAなどの、本来ブラインシュリンプにはあまり含まれていない栄養素を彼らの体内に取り込ませた上で急速冷凍させたということです。まさに、「バイオカプセルフード」。

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◆冷凍ワムシ

 こちらも必須脂肪酸であるDHAやEPAを体内に取り込ませたバイオカプセルフードです。そしてこのワムシの一番の特徴は、そのサイズです。ブラインシュリンプ幼生やコペポーダに比べるとかなり小さいので、小型のクラゲもよく食べることが出来ます。もちろん栄養価も高いので、成長したクラゲにもおすすめです。

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【人工飼料】

◆リー・フロイズ

 有名メーカー「Polyp lab(ポリプラボ)」より販売。天然由来の海洋プランクトンを多種使用したサンゴ用のフードになります。値段は結構高価...しかし、天然の動物プラクトンをふんだんに使っているというだけあって、その栄養価は素晴らしいものでしょうね。

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◆ミクロタッチ

 こちらも元々はサンゴやイソギンチャク、ヤギなどに使用するための粉末飼料です。かなり細かいので与えすぎには要注意。原材料には甲殻類や貝類、イカ類、プランクトン類、海藻類などが使用されているため、栄養バランス的にはバッチリです。

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