あまり知られていませんが、食虫植物はこの「日本」にも自生しています。そこで今回は、
「日本にはどんな種類の食虫植物が自生しているの?」、「どんな場所に生えているの?」、「採っても大丈夫?」、「日本固有種もいるの?」、「通販購入できる!?その育て方は?」などといったことに焦点を当てながら、詳しくご説明していきます。
●日本にいる食虫植物
【何種類いるの?どこにいるの?採っても大丈夫?】
日本には現在、
2科4属21種もの食虫植物が確認されています。
モウセンゴケ科
モウセンゴケ属・ムジナモ属
タヌキモ科
ムシトリスミレ属・タヌキモ属
意外にも多い印象を受けますね。では一体どのような地域に自生しているのでしょうか?有名所をいくつかご紹介していきたいと思います。
◆尾瀬ヶ原(福島・新潟・群馬・栃木)
「尾瀬ヶ原」とは、福島県・新潟県・群馬県・栃木県をまたがるようにしてある
高原で、
国立公園に指定されています(尾瀬国立公園)。
一面湿地ですが、歩けるルートは全て木道になっているため、豊富な高山植物を観察しながら散歩出来るようになっています。ちなみに、
日本百景にも選定されているそうです。
↑日本に29個ある国立公園のうち、29個目に指定された一番新しい国立公園。
そんな尾瀬ヶ原一帯には、
モウセンゴケやタヌキモの仲間が多数自生しています。が、しかし、
「国立公園」ですので採集は禁止になっています。
◆大雪山(北海道)
「大雪山」は北海道の中央部に位置する、
日本最大級の国立公園です。広大な森林、豊富な高山植物、冬季に現れる、まるで氷河期のような白銀の世界。そんな
自然環境の多様さがここの魅力となっています。そしてこの「大雪山」は様々な野生動物の生息地としても有名で、氷河期の生き残りと言われている
「エゾナキウサギ」や
「ヒグマ」なども暮らしています。
そんな「大雪山」には
ムシトリスミレが自生していますが、こちらも
尾瀬ヶ原同様「国立公園」に指定されていますので、
採集は不可です。
しかし、そんな中でも比較的標高の低い
「早出峡(新潟県)」産のものは栽培・増殖が容易で、世間にも広く出回っています。
↑日本にも複数種の「ムシトリスミレ」が自生しています。
◆日光国立公園(福島・栃木・群馬)
この「日光国立公園」は
日本で最初の国立公園で、福島県・栃木県・群馬県をまたぐようにしてあります。
公園区域の大半は山岳地であり、その中には北関東最高峰の
「白根山」や、古くから信仰の山として名高い
「男体山」、現在も火山活動の盛んな
「那須岳」などが存在します。
この「日光国立公園」は首都圏からのアクセスが良好で、手軽に大自然や歴史文化に親しめる場所として人気が高まってきています。
紅葉の名所としても有名。
そんな「日光国立公園」には、大雪山同様ムシトリスミレが自生しています。その中でも特に有名なのが、
日本固有種である「コウシンソウ」と呼ばれるムシトリスミレです。こちらは霧の立ち込める極地にしか生息しておらず、
日本での栽培は非常に困難だと言われています。
↑外国産ムシトリスミレ。飼育が容易なものも多くおすすめです。
さて、これまでご紹介してきた場所はいずれも「国立公園」でしたが、もちろん
それ以外の場所にも食虫植物は自生しています。別に標高の高い場所にわざわざ行かなくとも、身近にある池や沼、湖畔の周りにある日当たりの良い湿地などに生えている可能性があります。また中には、住宅地の一角にまで進出してきたものもいるそうですね。現に私も、家の外に放置された水の溜まった水槽に、タヌキモの仲間が生い茂っていたという場面を目にしたことがあります。
●日本にしかいない食虫植物は?
【日本固有種の食虫植物って?】
先ほど、
「日本にはおよそ21種類もの食虫植物が自生している」と記述しましたが…その中には、ここ
日本に”しか”いない食虫植物もあります。その一例をご紹介。
◆日本固有種の食虫植物
・コウシンソウ(タヌキモ科、ムシトリスミレ属)
標高1.500m以上、数時間間隔で霧が立ち込め、真夏でも最高気温が20℃に達することがない環境。そんな場所に生息する
日本固有種のムシトリスミレです。主に日光連山などに自生しています。
・フサタヌキモ(タヌキモ科、タヌキモ属)
秋田県・岩手県・滋賀県・新潟県に自生する浮遊性のタヌキモ。
多くの産地で絶滅寸前に危機にあります。
●購入できる日本の食虫植物
【通販で購入できるものもいる!?その育て方とは】
日本にいる食虫植物の自生地の多くが、「国立公園」などに指定されており、採集は不可となっています。しかし、その
中には栽培・増殖が容易な種もあり、そういったものが実際ネット通販などで売られていたりもします。
そこでここからは、
「通販で購入できる日本の食虫植物」をご紹介(もちろんその育て方も)していきます。調べてみると以外にも、多くの種が扱われていました。是非ご自宅や職場などで育ててみてはいかがですか?
◆コモウセンゴケ
日本では、宮城県より南の関東・東北地方・四国・九州・沖縄まで幅広く自生しています。また、オーストラリアやニュージーランド、東南アジアなどにも分布します。
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<育て方>
育て方は割と簡単で、冬場気温が10℃を下回らなければ加温せずとも外に出したままで大丈夫です。冬季には発育を止めます(冬芽は作らず)が、翌春には再び元気に発育し始めます。年間を通じて、日当たりの良い場所(外)に置いてください。
湿地などに生息しているため、切らさないようにして下さい。
◆オオバナイトタヌキモ
元々は南北アメリカ及びアフリカに自生していましたが、現在一部の地区で帰化しています。「イトタヌキモ(日本自生種)」に比べ、花が数倍大きいのが特徴です。
水中で生育をする植物ですから、水を張れる容器を用意しなければいけません。用意した水槽の底に畑の土を入れ、水を張り、水が澄んでくるまでしばし待ちます
(上記の商品には田んぼの土が付いてくるそうです)。
そうしたらあとはタヌキモを入れ、日当たりの良い場所に置きましょう。年間を通じて外に置いて下さい。冬場も加温する必要はありません。
◆モウセンゴケ(種)
北半球の広範囲にわたり分布している最もポピュラーなモウセンゴケ。日本でも平地や湿地などに広く自生しています。
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<育て方>
育て方は「コモウセンゴケ」とあまり変わりません。ただ、「コモウセンゴケ」と比べるとやや耐寒性があるので、いくら寒くても加温する必要はありません。そのかわり若干暑さに弱いため、夏季には発育がやや落ちます。しかし、秋季には再び発育を開始するためご心配なく。ちなみに
こちらの商品は種から育てる「栽培キット」になります。
いかがでしたでしょうか?日本にも思った以上に食虫植物はいたようです。しかし個人的には、よっぽどのこだわりがなければ「外国産の食虫植物」をおすすめします。
今まで散々日本の食虫植物を紹介しておいて今更何をと思われる方もいらっしゃるかと思いますが...これにはちゃんと理由があります。一つ目の理由は、「外国産の物は種類が豊富で、しかも日本のものに比べると育てやすいものが多い」というもの。そして二つ目は...個人的にはこれが一番重要でした。「室内で育てることの出来る食虫植物が多い」というものです。大好きな食虫植物をせっかく買うのであれば、是非とも目の届きやすいところに置いておきたいという気持ちが強かった訳です。
日本のように四季がある国に自生している植物は、冬の間十分に外で休眠する必要があるため、必然的に室内でも栽培は困難になります。しかし外国産のものの中には、「常時温暖な環境」も多いため、そういった植物は室内の日当たりの良い場所(+植物用照明)で栽培することが可能なのです。こればかりは個人の自由ですが...皆さんも「食虫植物」を買うときには一度考えてみて下さい。
外で育てる食虫植物か、室内で育てる食虫植物か。それぞれに魅力があるため迷うかもしれませんが。それではまた、カシオでした。
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