ミズクラゲ編Part 2(体の構造と生態について)





●神秘的な体の構造


【脳も無ければ心臓も無い?胃は…ある】

 分類上、クラゲは「刺胞動物」というくくりの生物に属します。この「刺胞動物」にはクラゲのほかに、イソギンチャク、サンゴなどが含まれますが、実は彼ら、脳を持たないのです。よってもちろん、クラゲにも脳がありません。おまけに心臓もありません。しかし、「心臓の役割」を果たしている部位があります。それがどこかわかりますか?実は、「体全体が心臓」になるのです。

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 前回、クラゲの可愛らしいフワフワとした泳ぎ方についてご紹介しましたが、実はあの動き、泳ぐためのものではなく、「栄養分を体の隅々にまで行き渡らせるため」の動きなのです。すなわち人間で言う所の、血液を体中に送るためのポンプ、「心臓」というわけです。そもそもクラゲは遊泳力を持たない生物(プランクトン)にあたるため、泳いでいるわけではなく、方向転換をしながら潮の流れに乗っているだけだったのです。  ちなみに、上写真に写るオレンジ色の部位。こちらは胃(生殖腺)になります。クラゲを飼育するうえで、この胃がきちんと染まっているかどうかを確認するのは実はとても大切なことです。餌をきちんと食べることのできたクラゲは、この胃が綺麗に染まり、消化すると栄養分が体の隅々に行き渡るため、傘全体が色づいてきます。このように、餌を消化していく過程が見られることも、クラゲ飼育の魅力の一つでもあるのではないでしょうか。




【口はどこ?奇妙な餌の食べ方について】

 何かを食べるということは、もちろんその生物に口があることを意味します。クラゲも同様、口はあります。ミズクラゲの場合、傘の内側から四本帯のようなものが伸びていますが、実はあれが口(どちらかと言えば食道?)になります。正式には「口腕(こうわん)」と呼ばれ、触手で絡めとられた餌が口腕にくっ付くと、餌はその口腕内部を通って胃へと運ばれて行きます。ここで一つ面白いのが「実はクラゲにも味覚がある」ということです。好みに合わない餌や、体に対して大きすぎる(または小さすぎる)餌などは、食べることなく粘液で固め、落としてしまうのです。見かけによらず、中々わがままな生物なのかもしれません。

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【実はクラゲにも目はあった!?】

 クラゲにも目があります。人間のような、物体を判別するほどのものではありませんが、明暗ぐらいは分かると言われています(種によって異なる)。中には、釣り人などの影を感知すると逃げ始めてしまう程の、発達した目を持つ種類も存在します。彼らの目のことは「眼点(がんてん)」と呼ばれており、ミズクラゲの場合、傘の縁におよそ16個あります。これは肉眼でも観察でき、縁の窪んだ場所に付いている白く小さな点が、それに当たります。


●目から鱗?ミズクラゲの生態


【雨の日、ミズクラゲを海であまり見かけないのは何故?】

 雨が降った日、もしくはその翌日の海で、ミズクラゲをあまり見かけなかったと言う方はいませんか?そう確かに、雨の日やその翌日は海でクラゲを発見しにくいのですが、それにもちゃんと理由があるのです。これには、「塩分濃度」が深く関わっています。



 海で生活をする生物にとって、「塩分濃度」は非常に重要な事柄です。海水の比重(塩分濃度)は3%前後となっていますが、雨が降った場合、海面の比重はどんと下がってしまいます。水質に敏感なクラゲはその変化を感じ取るとすぐにパルセーション(傘の開閉運動)を弱め、海中深くの比重が安定した地点へと逃げて行きます。雨の日にクラゲを見かけないのは、このためだったのですね。



【ミズクラゲの寿命は?】

 「クラゲの寿命」と聞かれても、すぐに答えられる方は少ないのではないでしょうか?クラゲの寿命は種類によって全く異なります(短いものだと、わずか数時間)。その中でもミズクラゲはかなり長命な方で、約20カ月間生存した個体も確認されています(平均約8カ月)
 一般的に短命だと思われているクラゲの中にも、別格な種が存在しています。その名も「ベニクラゲ」。実は彼ら、驚くべきことに不老不死なのです。通常クラゲは死亡すると、体がゆっくりと溶けてゆき、最後には完全に消えてしまいます。しかしこの「ベニクラゲ」は、活動が停止した後海中に溶け出すのではなく、その体からまた新たなポリプが発生するのです。このことから、「不老不死のクラゲ」とされています。



【クラゲは海を綺麗にする?驚くべきクラゲの役割とは】

 先ほど「ミズクラゲの餌の食べ方」の中で、「クラゲは自らが出す粘液で、食べられなかった餌を固めて落とす」という記述をしましたが、実はこれが、海水の浄化に繋がっているということ、ご存知でしたか?



 クラゲが粘液で固め落とすのは、なにも残餌だけではありません。海水中の不純物なども固めて落としてしまうのです。やがて、それらは「マリンスノー(プランクトンの死骸や排泄物が固まってできたもの)」となって海中深くへと沈んでいき、そこに生息する生物の餌にもなっているのです。クラゲは海を綺麗にし、他の生物の生存にも貢献している、まさに天使のような生物なのかもしれません。…しかし、残念ながらそんなクラゲ達による被害も多数報告されています。



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