ミズクラゲ編Part3(ミズクラゲの毒性と、正しい対処法について)

 「クラゲ」と名前の付くものは基本的に、皆毒を持っています。意外や意外、安全なクラゲと言われている「ミズクラゲ」でさえ、毒を持っているのです。今回は、そんなクラゲ達の持つ毒について解説していきます。






●ミズクラゲの毒性について


【以外にも猛毒を持っていた!?ミズクラゲの毒性について】

 「ミズクラゲには毒がないから平気」という言葉を耳にしますが、果たして本当でしょうか?先にも述べたと通り、一部例外はいますが、「クラゲと名の付いているものは基本毒を持っている」と思っていただいて構いません。そう、あのミズクラゲもです。



 実は彼らも、我々が気付かないだけでちゃんと刺しています。ただし、彼らの毒針は短いため、人の皮膚を貫通してくることはありません。そのため、「痛い」と感じることはあまりないのです。ただ、皮膚の薄い箇所(唇など)や、皮膚が敏感な方が触れた場合、少しヒリヒリするということはあります。これには個人差もあるため、一概には言えません。確実に言えることは、「魚を殺してしまう程の毒は持ち合わせている」ということです。クラゲと魚は必ず別々にして飼育しましょう。



【刺したくて刺している訳ではない?クラゲが人を刺す理由と、そのメカニズム】

 なぜクラゲが人を刺すのかご存知ですか?自分の身を守るため?捕食しようと攻撃するため?いえいえ。彼らも実は人を刺したくて刺している訳ではないのです。これはクラゲの「反射」によるものなのです。



 例えるならば、「熱々のやかんに手が触れてしまった」とき、頭で考える前にパッと手を引きますよね?これと同じことをクラゲもしているのです。
 以前もお話ししましたが、クラゲは毒(刺胞)を持つ「刺胞動物」にあたります。この、「刺胞」というのは、言うならば「毒針をしまっておくためのカプセル」のようなものです。あの長い触手の中にはこの「刺胞」が無数に入っています。そしてこの「刺胞」から毒針が出てくるためには、カプセル入口にある針に物体が触れなければいけないのです。ですから、人がクラゲに刺されるということはつまり、「刺胞の蓋に付いている針に触れたがために、クラゲは反射的にカプセルを開いてしまい、毒針が出てしまった」ということなのです。クラゲは自分の意思で刺していた訳ではなかったのですね。そう考えると、なんだか許してしまいます。



【注意!アナフィラキシーショックとは?】

 「刺されても重症を負う程ではない」種類のクラゲでも、度重なって刺されると重体に陥る可能性があります。このミズクラゲも例外ではありません。「アナフィラキシー」という言葉を聞いたことはありますか?



 「アナフィラキシー反応」とは、「体内に複数回毒が入ることで引き起こされる、急性のアレルギー反応」のことです。最悪の場合死に至ることもありますので、どのようなクラゲに関しても、素手で触ることは避けましょう。「一度刺されたが平気だった」かもしれませんが、二度目は果たして大丈夫でしょうか?もちろん、ミズクラゲも例外ではありません。個人差はありますが、念には念を。



●刺された時の対処法について


【「すぐに水道水で洗う」、「砂で皮膚をこする」、「お酢をかける」は間違い?正しい対処法について】

 皆さんはクラゲに刺された時、どのように対処していますか?もちろん、近くに病院があるのであればすぐに向かうことをオススメします。しかし、そのような状況でない場合には、「正しい応急処置」を行うことがとても重要です。そこでここでは、世間に間違って広まっている情報を整理しながら、正しい対処法について解説していきます。



◆すぐに水道水で洗う

 これに関しては、「全く間違い」という訳ではありません。問題なのは、「すぐに水道水で」という点です。先程、「刺胞は刺激を受けると開いてしまう」と記しましたが、クラゲが普段生活をしている「海水」ではない「真水」をかけるだけでも、刺胞が開いてしまうことがあります。そのため、もしも皮膚に触手が付いた状態のまま水道水をかけてしまうと、全刺胞が一気に開き、事態を悪化させてしまう可能性があります。皮膚に触手が残っていた場合、まずは「海水」を使って洗い流し、そのあと水道水で洗い流して下さい(細菌感染などを防ぐため)。

◆砂で皮膚をこする

 これもよく言われている方法ですが、最もしてはいけない事です。皮膚をこするということは全く意味が無い上、触手が残っていた場合刺胞を刺激してしまいます。とっさにこの方法が頭を過ぎっても、絶対にしてはいけません。

◆お酢をかける

 酢には「刺胞の発射抑制」の効果があるとされていますが、クラゲの種類によっては逆に刺胞を刺激してしまう場合があるため、かなりのリスクを伴います。有効だと知られているクラゲについては「ハブクラゲ」などが挙げられます。



以上の事より、「クラゲに刺された時の正しい対処法」は以下のようになります。
①陸に上がり、とにかく安静にする。
  じっとすることで血液の巡りを抑え、毒の拡散を防ぐ。
②海水でよく洗う(この時触手が残っていても素手では決して触らずに、洗い落とす)。
  このとき間違ってもいきなり水道水で洗ってはいけません。刺胞が開く恐れがあります。
③水道水でよく洗う。
  傷口からの細菌感染などを防ぐためです。
④患部を冷やす。
  患部周辺の血液の巡りを抑えることで、毒の拡散防止につながります。また、炎症を軽減させることも出来ます。
⑤症状が引かない場合は病院へ行く。




【サーフィンや海水浴にうってつけ!画期的なクラゲ除けとは】

 対処法について正しい知識を持つことはもちろん大事ですが、「そもそも刺されたくない!」と言う方に朗報です。
 最近では、「クラゲ除け」の効果がプラスされた面白い「日焼け止め」が登場しているそうです。是非この夏、海水浴場で使ってみてはいかがですか?以下商品紹介↓


 こちらの日焼け止めローションは、クラゲを寄せ付けないのではく、「クラゲに仲間だと信じ込ませる」成分が配合されているそうです。まさかそんな手があったとは...。使用する上で一般の日焼け止めと違う所は、塗った後に10分ほど乾燥させるそうです。それだけでクラゲに刺されずに済むのであれば安いものですね。
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 こちらはキッズ用のチューブタイプになっています。
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【購入者・利用者の評判】

★★★★★
 サーフィンをする際のクラゲ避けと日焼け止め目的のために購入しました。少し多めに塗ってしっかりと乾かしてから入水すれば効果があります。塗って乾かさずに入るとすぐ落ちてしまって、普通に日焼けしてしまいます。肝心なクラゲについては、今のところ刺されずに済んでいます。
★★★★☆
 主人へのプレゼントとして購入しました。よく長持ちすると好評でした。
★★★★★
 2時間程なら落ちずにもってくれます。クラゲに対しての効果はわかりませんが...保険だと思って使い続けています。



クラゲ以外でも毒を持った生物は多数存在します。これを機に「毒」に対しての知識を身つけてみませんか?
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...Part4へ続く(大量発生による被害と、クラゲの有効活用)

ミズクラゲ編Part 2(体の構造と生態について)





●神秘的な体の構造


【脳も無ければ心臓も無い?胃は…ある】

 分類上、クラゲは「刺胞動物」というくくりの生物に属します。この「刺胞動物」にはクラゲのほかに、イソギンチャク、サンゴなどが含まれますが、実は彼ら、脳を持たないのです。よってもちろん、クラゲにも脳がありません。おまけに心臓もありません。しかし、「心臓の役割」を果たしている部位があります。それがどこかわかりますか?実は、「体全体が心臓」になるのです。

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 前回、クラゲの可愛らしいフワフワとした泳ぎ方についてご紹介しましたが、実はあの動き、泳ぐためのものではなく、「栄養分を体の隅々にまで行き渡らせるため」の動きなのです。すなわち人間で言う所の、血液を体中に送るためのポンプ、「心臓」というわけです。そもそもクラゲは遊泳力を持たない生物(プランクトン)にあたるため、泳いでいるわけではなく、方向転換をしながら潮の流れに乗っているだけだったのです。  ちなみに、上写真に写るオレンジ色の部位。こちらは胃(生殖腺)になります。クラゲを飼育するうえで、この胃がきちんと染まっているかどうかを確認するのは実はとても大切なことです。餌をきちんと食べることのできたクラゲは、この胃が綺麗に染まり、消化すると栄養分が体の隅々に行き渡るため、傘全体が色づいてきます。このように、餌を消化していく過程が見られることも、クラゲ飼育の魅力の一つでもあるのではないでしょうか。




【口はどこ?奇妙な餌の食べ方について】

 何かを食べるということは、もちろんその生物に口があることを意味します。クラゲも同様、口はあります。ミズクラゲの場合、傘の内側から四本帯のようなものが伸びていますが、実はあれが口(どちらかと言えば食道?)になります。正式には「口腕(こうわん)」と呼ばれ、触手で絡めとられた餌が口腕にくっ付くと、餌はその口腕内部を通って胃へと運ばれて行きます。ここで一つ面白いのが「実はクラゲにも味覚がある」ということです。好みに合わない餌や、体に対して大きすぎる(または小さすぎる)餌などは、食べることなく粘液で固め、落としてしまうのです。見かけによらず、中々わがままな生物なのかもしれません。

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【実はクラゲにも目はあった!?】

 クラゲにも目があります。人間のような、物体を判別するほどのものではありませんが、明暗ぐらいは分かると言われています(種によって異なる)。中には、釣り人などの影を感知すると逃げ始めてしまう程の、発達した目を持つ種類も存在します。彼らの目のことは「眼点(がんてん)」と呼ばれており、ミズクラゲの場合、傘の縁におよそ16個あります。これは肉眼でも観察でき、縁の窪んだ場所に付いている白く小さな点が、それに当たります。


●目から鱗?ミズクラゲの生態


【雨の日、ミズクラゲを海であまり見かけないのは何故?】

 雨が降った日、もしくはその翌日の海で、ミズクラゲをあまり見かけなかったと言う方はいませんか?そう確かに、雨の日やその翌日は海でクラゲを発見しにくいのですが、それにもちゃんと理由があるのです。これには、「塩分濃度」が深く関わっています。



 海で生活をする生物にとって、「塩分濃度」は非常に重要な事柄です。海水の比重(塩分濃度)は3%前後となっていますが、雨が降った場合、海面の比重はどんと下がってしまいます。水質に敏感なクラゲはその変化を感じ取るとすぐにパルセーション(傘の開閉運動)を弱め、海中深くの比重が安定した地点へと逃げて行きます。雨の日にクラゲを見かけないのは、このためだったのですね。



【ミズクラゲの寿命は?】

 「クラゲの寿命」と聞かれても、すぐに答えられる方は少ないのではないでしょうか?クラゲの寿命は種類によって全く異なります(短いものだと、わずか数時間)。その中でもミズクラゲはかなり長命な方で、約20カ月間生存した個体も確認されています(平均約8カ月)
 一般的に短命だと思われているクラゲの中にも、別格な種が存在しています。その名も「ベニクラゲ」。実は彼ら、驚くべきことに不老不死なのです。通常クラゲは死亡すると、体がゆっくりと溶けてゆき、最後には完全に消えてしまいます。しかしこの「ベニクラゲ」は、活動が停止した後海中に溶け出すのではなく、その体からまた新たなポリプが発生するのです。このことから、「不老不死のクラゲ」とされています。



【クラゲは海を綺麗にする?驚くべきクラゲの役割とは】

 先ほど「ミズクラゲの餌の食べ方」の中で、「クラゲは自らが出す粘液で、食べられなかった餌を固めて落とす」という記述をしましたが、実はこれが、海水の浄化に繋がっているということ、ご存知でしたか?



 クラゲが粘液で固め落とすのは、なにも残餌だけではありません。海水中の不純物なども固めて落としてしまうのです。やがて、それらは「マリンスノー(プランクトンの死骸や排泄物が固まってできたもの)」となって海中深くへと沈んでいき、そこに生息する生物の餌にもなっているのです。クラゲは海を綺麗にし、他の生物の生存にも貢献している、まさに天使のような生物なのかもしれません。…しかし、残念ながらそんなクラゲ達による被害も多数報告されています。